コラム column

SUS304とSUS403の強度比較:特性と選び方ガイド

金属材料の選定において、特にステンレス鋼のような耐食性や強度が求められる材料では、どのタイプを選ぶかが非常に重要です。SUS304とSUS403は、共に一般的に使用されるステンレス鋼ですが、その特性や強度には明確な違いがあります。「どちらを選べばいいのか、具体的な強度の違いを知りたい…」とお考えの方に向けて、本ガイドを用意しました。

本記事では、SUS304とSUS403の基本的な特性の違い、強度の比較、そしてそれぞれの材料が適している用途について詳しく解説していきます。これを読むことで、どちらの材料が自分のニーズに合っているか、明確な判断ができるようになるでしょう。金属選びで失敗しないための、必要な知識を身につけましょう。

1. SUS304 と SUS403 強度比較 解説詳細

1-1. SUS304とSUS403の基本特性

  • SUS304
    • 種類:オーステナイト系ステンレス鋼
    • 特徴:優れた耐食性と良好な加工性を持ち、非磁性に近い。
    • 用途:厨房機器、化学装置、食品加工機器など幅広い用途。
  • SUS403
    • 種類:マルテンサイト系ステンレス鋼
    • 特徴:高強度で耐摩耗性が良く、磁性を持つ。耐食性はSUS304より低め。
    • 用途:刃物、バルブ、軸受け部品など高強度を要求される場面。

1-2. ステンレス鋼の成分とその影響

  • SUS304の主成分
    • クロム(約18%)、ニッケル(約8%)を含み、耐食性・耐熱性が優秀。
    • ニッケルがオーステナイト相を安定化し、非磁性・高延性を付与。
  • SUS403の主成分
    • クロム(約12~14%)が主体で、ニッケルはほとんど含まれない。
    • マルテンサイト相を形成し、強度・硬度が高く磁性を帯びる。
    • 炭素含有量がSUS304より高く、焼入れ硬化が可能。

1-3. SUS304とSUS403の強度特性の違い

特性SUS304SUS403
引張強度約520~750 MPa約600~900 MPa
降伏強度約205~350 MPa約380~650 MPa
硬さ(HV)約150~200約200~400(熱処理による)
耐食性高い中程度
磁性ほぼ非磁性強磁性
  • SUS403は熱処理によって大幅に硬度と強度を向上できるが、耐食性は劣るため使用環境を選ぶ。
  • SUS304は強度は中程度だが耐食性が高く、加工性も良い。

1-4. 特定の用途における最適なステンレス鋼の選び方

  • 耐食性重視 → SUS304が適切。食品、化学、医療用途など。
  • 高強度・耐摩耗性重視 → SUS403が適合。刃物、軸受け、機械部品。
  • 磁性の有無 → 磁性が不要ならSUS304、磁性が必要または許容されるならSUS403。

1-5. 強度の高いステンレス材料を選ぶ基準

  • 製品の用途・寿命・安全性に応じて最適なグレードを決定することが重要。
  • 使用環境の腐食性と耐摩耗性のバランスを評価。
  • 必要な強度・硬度と加工性のトレードオフを理解する。
  • 熱処理の可否やコストも選定の重要ポイント。

まとめ

SUS304は優れた耐食性と加工性を持ち、一般的に使用されるステンレス鋼です。一方、SUS403は高強度で耐熱性に優れ、特に高温環境での使用に適しています。選択は用途に応じて、耐食性が重要ならSUS304、高強度が求められる場合はSUS403を選ぶと良いでしょう。