SUS304の硬度はどのくらいか|加工・設計で見落としやすい基準と注意点
「数値だけで判断しない」ことが、SUS304を扱ううえでの重要なポイントです。
意味・定義
SUS304は、オーステナイト系ステンレス鋼に分類される材料です。
硬度は主にブリネル硬さ(HB)やビッカース硬さ(HV)で表されます。
| 指標 | 代表的な数値 | 備考 |
|---|---|---|
| ブリネル硬さ(HB) | 約160〜190 | 固溶化熱処理材の目安 |
| ビッカース硬さ(HV) | 約150〜200 | 測定条件でばらつきあり |
| ロックウェル硬さ | HRB70前後 | 参考値として扱う |
なお、SUS304は焼入れによる硬化ができない材料です。
これは、組織がオーステナイトで安定しており、マルテンサイト化しないためです。
基準・考え方
SUS304の硬度を考える際は、「数値の大小」よりも用途との適合を基準にします。
以下のように整理すると判断しやすくなります。
- 切削・曲げ加工が必要 → 硬度は低めで問題になりにくい
- 摩耗や当たりが発生する → 硬度不足になる可能性あり
- 強度・耐摩耗を重視 → 別材質を検討
SUS304は耐食性と加工性のバランスに優れた材料ですが、
高硬度を目的に選定する材料ではありません。
硬さが重要な場合は、SUS420などのマルテンサイト系や、表面処理を含めた設計が検討されます。
注意点
SUS304の硬度に関して、現場で特に注意すべき点があります。
- 加工硬化が起こる(切削・曲げで局所的に硬くなる)
- 表面と内部で硬度差が出る場合がある
- 硬度測定位置や方法で数値が変わる
加工硬化により、二次加工時に工具摩耗や割れが起きることがあります。
「材料が硬い」のではなく、「加工で硬くなっている」ケースが多いため、
加工工程全体を通して評価することが重要です。
よくある誤解
SUS304の硬度について、次のような誤解がよく見られます。
- SUS304は焼入れすれば硬くなる
- ステンレス=硬い材料
- 硬度が低い=強度が低い
SUS304は焼入れできず、硬度も中程度ですが、
引張強さや靭性に優れる材料です。
硬度だけで材料性能を判断すると、選定ミスにつながる可能性があります。
まずは「どの性能を重視しているのか」を整理し、
そのうえでSUS304の硬度が適切かを判断することが、
材料選定で失敗しないための基本となります。
よくある質問
SUS304の硬度はどのくらいが目安になりますか?
SUS304の硬度は、固溶化熱処理材でブリネル硬さ(HB)約160〜190、ビッカース硬さ(HV)で約150〜200が一般的な目安です。測定方法や材料状態によって数値は前後するため、参考値として捉え、用途との適合で判断することが重要です。
SUS304は焼入れで硬くすることはできますか?
SUS304は焼入れによる硬化ができない材料です。組織がオーステナイトで安定しており、焼入れしてもマルテンサイト化しないため、炭素鋼やマルテンサイト系ステンレスのように硬度を上げることはできません。
加工後にSUS304が硬く感じるのはなぜですか?
SUS304は切削や曲げなどの加工によって加工硬化が起こりやすい材料です。加工部位が局所的に硬くなるため、材料全体が硬いように感じることがあります。これは材質不良ではなく、加工履歴による変化です。
SUS304の硬度だけで材料選定しても問題ありませんか?
硬度だけでSUS304を評価するのは注意が必要です。SUS304は高硬度を目的とした材料ではなく、耐食性や靭性、加工性とのバランスが特長です。摩耗や硬さが重要な用途では、別材質の検討が必要になります。