コラム column

ステンレスSUSの種類と特徴を徹底解説!あなたの用途に合った選び方

ステンレス製品を選ぶ際、SUSの種類や特徴を理解していますか?ステンレスはその耐久性や美しさから様々な用途で使用されていますが、適切なSUSを選ぶことは重要です。本記事では、ステンレスSUSの種類と特徴について詳しく解説します。あなたの用途に最適なSUSを選ぶ際のポイントや注意点もお伝えしますので、ぜひ最後までご覧ください。ステンレスの世界に一歩踏み入れ、知識を深めましょう。

ステンレスSUSの基礎知識

ステンレスSUSとは

質問 答え
ステンレスSUSとは? ステンレスSUS(ステンレススチール)は、耐食性を持つ鋼の一種で、主にクロムを含み、酸化に強い特性を持っています。SUSは「Stainless Steel」という言葉の略で、特に日本で使われる規格名です。
ステンレスSUSは、耐腐食性、強度、耐熱性に優れた鋼であり、日常的に使用される様々な製品に利用されています。特に、食品業界や化学工業での耐腐食性が求められる部品に多く使用されます。

ステンレスの主要成分と役割

成分名 役割
クロム ステンレスの耐食性を向上させ、酸化を防ぐ役割を持ちます。
ニッケル 耐食性の向上と、鋼の靭性や強度を高める役割を持ちます。
モリブデン 耐食性(特に塩水や海水に対して)を向上させる役割を果たします。
炭素 ステンレスの硬さや強度を高めるために少量含まれますが、過剰は耐食性を損なうため注意が必要です。
ステンレスの品質や性能は、これらの成分の比率や種類によって異なり、特定の用途に合わせて調整されています。クロムが主成分となることで、耐腐食性が高く、長期間にわたり優れた性能を発揮します。

ステンレスSUSの製造プロセス

プロセス 内容
溶解 鉄鉱石を溶解し、必要な成分(クロムやニッケル)を加えて鋼を作成します。
鋳造 溶解した鋼を鋳型に流し込み、冷却して固形にします。
圧延 鋳造された鋼を圧延し、所定の厚さや形状に成形します。
熱処理 必要に応じて熱処理を行い、硬度や靭性を調整します。
冷却と仕上げ 鋼の表面を磨き、酸化膜を取り除いたり、仕上げ加工を行います。
ステンレスの製造には、高温での処理や冷却工程が重要です。製造プロセスによって、鋼の成分が均一になり、優れた特性が得られます。特に圧延や熱処理工程では、鋼の性質が大きく変化するため、精密なコントロールが求められます。

ステンレスSUSの種類とその特徴

以下は、ステンレスSUSの主要な種類とその特徴です:

1. オーステナイト系ステンレス鋼(SUS304など)

  • 特徴
    • 良好な耐食性、耐熱性、加工性を持つ。
    • 一般的に使用されるステンレス鋼。
    • 溶接性が良好で、食品産業や化学工業でよく使用される。
特性 詳細
主な用途 食品加工、化学装置、医療機器、建材
耐食性 高い
耐熱性 優れた耐熱性
加工性 良好
溶接性 良好

2. フェライト系ステンレス鋼(SUS430など)

  • 特徴
    • 鉄鋼に似た特性を持ち、低価格で耐食性がある。
    • 主に装飾や家庭用品に使用されるが、高温には弱い。
    • 熱間圧延により強度が増す。
特性 詳細
主な用途 排気系部品、家庭用機器、建材、装飾品
耐食性 中程度
耐熱性 中程度(高温には弱い)
加工性 良好
溶接性 低い(溶接性に制限あり)

3. マルテンサイト系ステンレス鋼(SUS420など)

  • 特徴
    • 高い強度を持ち、硬度調整が可能。
    • 主に切削工具や刃物に使用され、耐食性は低い。
    • 焼入れ後に硬度が向上する。
特性 詳細
主な用途 刃物、工具、ポンプ部品、バルブ
耐食性 低い(他のステンレス鋼に比べて劣る)
耐熱性 中程度
加工性 良好(焼入れ後に硬度向上)
溶接性 良好(特定の条件下で可能)

4. 複合系ステンレス鋼(ダプレックス)

  • 特徴
    • オーステナイトとフェライトが混合した組成。
    • 高い耐食性と強度を兼ね備え、耐腐食性が求められる環境で使用される。
    • 特に海洋、石油化学産業で使用される。
特性 詳細
主な用途 石油化学、海洋環境、耐腐食性が必要な部品
耐食性 非常に高い
耐熱性 高い(高温環境でも使用可能)
加工性 良好(溶接性も向上)
溶接性 優れた溶接性

各種ステンレスの比較と選び方

以下は、各種ステンレス鋼(オーステナイト系、フェライト系、マルテンサイト系、複合系)の比較と、選び方に役立つポイントです。

1. 耐食性の比較

ステンレス種類 耐食性 特徴
オーステナイト系(SUS304) 非常に高い 酸性や塩基性の環境でも優れた耐食性
フェライト系(SUS430) 中程度 酸化に強いが、塩分や塩酸などの耐食性は低い
マルテンサイト系(SUS420) 低い 耐食性は劣るが、硬度が高い
複合系(ダプレックス) 非常に高い さまざまな腐食環境で高い耐性を発揮
  • 選び方
    • 高い耐食性が必要な場合(例:化学機器、食品産業)はオーステナイト系(SUS304)やダプレックスを選ぶ。
    • 中程度の耐食性で十分な場合(例:排気系部品、装飾品)はフェライト系(SUS430)を選ぶ。

2. 強度と硬度の違い

ステンレス種類 強度(引張強度) 硬度 特徴
オーステナイト系(SUS304) 中程度 中程度(HRB 90程度) 伸びやすく、加工性が良い
フェライト系(SUS430) 高い 中程度(HRB 80程度) 強度が高く、硬さも適度に高い
マルテンサイト系(SUS420) 高い 高い(HRC 50~55) 硬度が非常に高いが、延性に欠ける
複合系(ダプレックス) 高い 高い 強度と硬度が両立し、優れた耐腐食性を持つ
  • 選び方
    • 強度と硬度が必要な場合(例:切削工具、刃物)には、マルテンサイト系(SUS420)を選ぶ。
    • 強度と加工性のバランスを重視する場合(例:建築材料、装飾品)にはフェライト系(SUS430)を選ぶ。
    • 両方の特性が必要な場合(例:化学プラント、海洋環境)にはダプレックスを選ぶ。

3. 熱処理による特性変化

ステンレス種類 熱処理の影響 特徴
オーステナイト系(SUS304) 焼きなましで軟化 熱処理後も耐食性を保ちながら、延性が向上
フェライト系(SUS430) 高温で硬化 焼入れで強度が増すが、延性が低下する
マルテンサイト系(SUS420) 焼入れで硬度が増す 焼入れ後に高硬度・高強度が得られるが、延性は低い
複合系(ダプレックス) 焼きなましで強度向上 焼入れで耐食性を維持しながら、強度が向上
  • 選び方
    • 耐食性を保ちながら強度を高めたい場合(例:高温環境、海洋環境)には、ダプレックス系を選択。
    • 硬度が必要な場合(例:工具鋼、機械部品)には、マルテンサイト系(SUS420)を選ぶ。

4. 用途に応じたステンレスSUSの選び方

用途 推奨ステンレス種類 特徴
食品産業、化学機器 オーステナイト系(SUS304) 高い耐食性と優れた加工性
装飾品、家庭用品 フェライト系(SUS430) コストパフォーマンスが高い
工具、刃物 マルテンサイト系(SUS420) 高い硬度と強度が要求される
海洋環境、石油化学 複合系(ダプレックス) 高い耐腐食性と強度を持ち、過酷な環境でも使用可能
  • 選び方
    • 高耐食性が求められる環境(例:化学プラントや食品加工機器)ではオーステナイト系を選ぶ。
    • 耐食性と強度のバランスが必要な環境(例:海洋、石油化学)ではダプレックスを選ぶ。
    • 高強度が必要な場合(例:工具、刃物)にはマルテンサイト系を選ぶ。