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一般家庭からプロまで!SUSステンレスの種類と使い分け方ガイド

家庭用からプロの業務用まで、身近な素材として幅広く活用されているSUSステンレス。その種類や使い分け方について知識を深めたいと思ったことはありませんか?このガイドでは、SUSステンレスとは何かから始まり、異なる種類の特徴や適した使用方法を詳しく解説していきます。SUSステンレス製品を選ぶ際のポイントや、専門家も活用するプロ仕様の使い方まで、幅広い情報をお届けします。素材に関する基本的な知識からプロまでをカバーした、SUSステンレスの魅力に迫るガイドブックをお楽しみください。

ステンレス鋼とは:基本を知ろう

ステンレス鋼の定義と歴史

項目 説明
定義 ステンレス鋼は、を主成分とし、クロム(Cr)を10.5%以上含む合金であり、錆びにくい特性を持つ。
歴史 1913年にイギリスのハリー・ブレアリーがクロムを含む鉄鋼を開発し、現代のステンレス鋼が誕生。
錆びにくい理由 クロムが酸素と反応して表面に不動態皮膜を形成し、腐食から金属を保護する。

ステンレス鋼の分類とSUS種類の概要

種類 代表例 特徴
オーステナイト系 SUS304、SUS316 耐食性が高く非磁性。溶接性・加工性が良好で、最も多く使用されるステンレス鋼。
フェライト系 SUS430 クロムを主成分とし、磁性を持つ。耐食性は中程度だが、コストが比較的低い。
マルテンサイト系 SUS410、SUS420 硬度と強度に優れるが、耐食性は低い。熱処理によって硬度を高めることが可能。
二相系(デュプレックス) SUS329J4L フェライト相とオーステナイト相を併せ持つ。高強度・高耐食性を兼ね備える。
析出硬化系 SUS630 熱処理で強度を高めたステンレス鋼。高硬度・高強度で、航空機部品に使用される。

ステンレス鋼の基本的な特性

特性 説明
耐食性 クロム含有により錆びにくく、酸化や腐食に強い。水回りや化学環境に適している。
強度と硬度 種類によって異なるが、一般的に高い強度と適度な硬度を持つ。マルテンサイト系は特に硬い。
加工性 オーステナイト系は優れた加工性を持ち、プレスや曲げ加工が容易。
溶接性 オーステナイト系が特に優れており、継ぎ目をしっかり接合できる。
熱膨張率 鉄鋼よりも熱膨張が大きい。温度変化が激しい環境では変形の考慮が必要。
磁性 フェライト系やマルテンサイト系は磁性を持つが、オーステナイト系は非磁性。

主な用途

  1. オーステナイト系:キッチン用品、配管、建材、化学プラント
  2. フェライト系:家電製品、装飾パネル、自動車部品
  3. マルテンサイト系:刃物、タービンブレード、工具
  4. 二相系:海洋構造物、化学タンク、高圧パイプ
  5. 析出硬化系:航空機部品、精密機械部品

SUS304とSUS430の比較

両種類の化学成分の違い

成分 SUS304(オーステナイト系) SUS430(フェライト系)
炭素 (C) 0.08%以下 0.12%以下
クロム (Cr) 18.0~20.0% 16.0~18.0%
ニッケル (Ni) 8.0~10.5% 含まない
マンガン (Mn) 2.0%以下 1.0%以下
シリコン (Si) 1.0%以下 1.0%以下
その他成分 微量の窒素 (N)

耐食性と耐熱性の比較

特性 SUS304 SUS430
耐食性 非常に高い。クロムとニッケルの働きにより不動態皮膜が強固に形成される。 クロムのみによる不動態皮膜のため、耐食性は中程度。酸性環境では劣化しやすい。
耐熱性 800℃程度までの高温環境でも強度と耐食性を保持。 700℃程度まで耐熱性があるが、酸化が進行しやすい
磁性 非磁性(加工後に弱磁性が発生することがある)。 磁性あり。フェライト系のため強い磁性を持つ。
溶接性 非常に良好。溶接後の品質低下が少ない。 溶接は可能だが、溶接部の耐食性低下が生じやすい。
機械的強度 引張強度が高く、加工硬化しやすい。 SUS304より柔らかいが、強度は中程度。